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ラブレスのdojiのレビュー・感想・評価

ラブレス(2017年製作の映画)
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愛のない夫婦や、愛されない子ども、愛せないということや、愛されないということだとか、そういった感情や関係性について、登場人物たちは話したり身振りで示したりはしているけれど、どうもそういった映画には思えなかった。

窓の外に見える景色や、静かな林に立ち込める霧と遠くに見えるアパート、知らない間に降り出した雪、捜索隊のオレンジのゼッケン。妻である彼女がなぜ少年を探すのかも、夫である彼がなにを考えていて、警察やボランティアがなにに突き動かされて少年を探しているのかも、考えてみるとそんなことはよくわからない。ただ、息をのむほど美しい映像の中で映されるのは、少年がいなくなってしまった世界で、彼のことを探そうとして、見つけることができないひとたちの住む世界だ。タイトルの意味するところはそこなのではないかと思う。少年は愛だったのだ。
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