このレビューはネタバレを含みます
自己愛のぶつかり合い。
恋愛ものを普段見ることは少ないのですが楽しめました。
カメラワークなのか、音楽なのか.すぐに作品に没頭することができます。
ここに出てくる人間は地位は高いけれど高潔な人間は1人もいない。なんなら出てくる男はみんな清々しいほど無能ではないか。
サラはアンを愛していたと思うのですが…
手紙の内容が気になる。野暮ですかねw
サラの愛は支配に近いので長続きするかはサラの手腕にかかっていたわけですが、無能を側に置きすぎて自分以外の能力の高い人間に飢えていたのか、油断したのか…。
子を次々と失い、精神的にも身体的にも不健康で地位の高い人とはとても思えないアン女王。
サラは献身的に尽くしていたが、これは単なる甘やかしをして、アンが他の人より自分を求めるように仕向けてきた結果に他ならない。
アンはそんなサラに愛して欲しかったし、サラも愛していたけどアンの求める愛とは違うもので、そこにも歪みが生じています。
そこにアビゲイル登場。
サラやアンとはまた違った人間臭い子です。
良いですね、彼女は搾取される側を嫌がっていたはずなのに、自らを差し出す。
女性として性的対象に見られるのは嫌なのに、性的魅力を使って相手を落とすこの矛盾。
武器はなんでも使うってことか。
ただそれはプロセスとしてであって、本当は搾取される側になりたい。本来は高い地位の私を取り戻したい。
ウサギを踏みつける行動にも現れていますが、直後、彼女は一転して女王に愛を差し出すことも叶わず搾取される側に落とされます。
愛を求めていたのに、サラを手放しアビゲイルにまで愛ではなく欲を求めるだけになってしまったアン。
サラとの思い出話や、ウサギを我が子のように可愛がっている様は可愛らしかったのに、その面影はどこにもない。
エマストーン、レイチェルワイズ、もちろん素晴らしいですし、なんならニコラスホルトもなんかハマり役で良い。
それ以上にオリヴィアコールマンが抜群に素晴らしいです。