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バック・トゥ・ザ・フューチャーのtakのレビュー・感想・評価

4.3
ご存じマーティ・マクフライ君がサイエンティストのドグと時空を超えて大活躍する80年代を代表するヒットシリーズ。デロリアン号が炎の轍を残して走り去る姿とマイケル・J・フォックスのスケボー姿は忘れられないですよね。リー・トンプソンもこれでブレイクしたっけ。

現代と過去の物語だけに、時代感覚を出すために音楽は重要な要素。プロムのパーティで流れる50Sのダンスナンバーも素敵だった。それに何と言ってもギタリストの負傷でマーティに代役が回ってくる場面は音楽ファンには最大の見せ場。ロックンロール前夜の時代に Johnny B. Good を演奏するマーティ。しかも負傷したギタリストがチャック・ベリーのいとこだったというオチまでついて、楽しくて仕方ない。それにマイケル・J・フォックスのステージアクション!。チャック・ベリーのダック・ウォークや、エディ・ヴァン・ヘイレンのライトハンド奏法まで見せつけて「君たちにはまだ早かったかな・・・」くーっ、たまらん。

さて主題歌担当は、ヒューイ・ルイス&ザ・ニュース。映画主題歌を手がけるのは初めて。アルバム「スポーツ」のヒットの後だけに、The Power Of Love はメガヒットとなった。50Sにも80Sにも通ずるアメリカン・ロック、ということでの抜擢だったとか。ロケンロールは不滅ですな。シンプルなギターリフと四分音符のシンセブラスが印象的。当時コピーした人多かったろうな。彼らはもう一曲、Back In Time を提供している。サントラには他に、フリート・ウッドマックのリンジー・バッキンガム、エリック・クラプトン(プロデュースはフィル・コリンズ)が楽曲提供。アラン・シルベストリのスコア、あのホーンのフレーズを聞くとワクワクしてしまう。

この映画は複数のサスペンス要素が絡んでいるから、他の似たような映画よりも面白い。いかにして現代に戻るのか?というハラハラ、自己の存在を賭けて親同士をカップルにするというドキドキ。写真から自分が消えていく場面は不思議な説得力があった。本当によくできたシナリオだし、ロバート・ゼメキスがこれを上手にテンポよく演出している。物語の本流ではないけれど、この映画の根底にあるのは家族愛。ファミリーをもう一度見直そうとする風潮や映画は、ロバート・レッドフォードの「普通の人々」以来、80年代にはときどき登場していた。そうした世相が反映されていたという分析もあるかもね。いずれにせよ、それも"愛の力"。
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