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女であることのkossのレビュー・感想・評価

女であること(1958年製作の映画)
3.7
川端康成と川島雄三が意外と合う。川端には日本的で繊細な叙情ではない愛憎或いは変態的な作品があり、その一端をモダンな川島が現前させた。オープニングの自転車の街の疾走のスライドアウトから、丸山(美輪)明宏の歌とポーズ。単なる文芸映画ではないと宣言して始まる。

物語はトリックスターのごとき侵入者の娘のもたらす恋情と奔放が、ジェンダーや近親間、夫婦間をゆるがす。異貌なドロドロの文芸メロドラマの様相が一転、幸福な結末が、不思議な哄笑をもたらす。

丸子橋近くの2階が玄関の家屋。階段、1階への下り口の俯瞰、部屋の移動も、観る者の感覚をゆるがす。妻の原節子が昔の男と出会うのが宝塚の観劇なのも象徴的である。
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