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人狼ゲーム マッドランドのJIZEのレビュー・感想・評価

人狼ゲーム マッドランド(2017年製作の映画)
2.8
監禁された高校生が生き残りを賭け1億円を得る理由で殺戮ゲームへ身を投じる究極の心理戦を描いたシリーズ第6弾‼シリーズ史上で人間の汚さが一番露骨に反映された続編だった。今回は"狂人村"という人狼を勝たせる理由で組織されたような役職が高度な駆け引きを重ねながら村人側と闘う展開が組まれる。また今回"2人(用心棒,予言者)vs8人(人狼,狂人)"という偏った構図はシリーズ史上で一番奇怪な設定だった。作品の前半では自称人狼を名乗る人間が他の参加者を扇動しては王様を気取り後半では主導権が再び何転かし場内が不穏な雰囲気へ包まれる。中盤以降ではゲームの盲点を突くためあるプレイヤーがルールの規範に乗っ取り奇抜なある賭けにでる場面であったり終盤で泣かせるくだりが最後の判定を覆すミスリードを機能させてたりと論理的に組み立てられたプロトコルには唸った。ただヒエラルキーの闘争(特に地べたでパンを食わせるくだりや逆ハーレムの気持ち悪さ等)が前半で濃すぎたためか人狼ゲームそのものの核因へは届かず改めて原点に立ち返るためリブートをかけたような作品だった。内容の2/3程度から固い友情軸が露骨に反映されるのも過去シリーズにおける既視感が多分に募ってしまい最後の最後まで展開が読めないという辺りまでは脚本ともども過去作を越える一定の境界線上へ踏み込めていないというのが最終的な結論である。

→総評(設定に潜むゲームの盲点が脱出への鍵)。
今回,主演を務めたSUPER☆GiRLSの浅川梨奈を筆頭にキャスト陣の薄さ(雰囲気)は減点要素だったのではないだろうか。前半の王様ゲームが熾烈化する嫌なくだりと後半の一気にゲームが加速化しエンドへ雪崩れ込んでしまう流れなど予想を裏切る展開に脚本が到達し切れてない。毎回,終盤でヒロインが運営側のモニターへむかい強烈に思いの丈を叫ぶ場面でも「アアアアアアーーー!!!」のみなのも台詞の過不足感が否めない。例えば何か世界が変動しかけるような観客の胸を打つアツい一言がこの場面でも欲しかった。また邦題の"マッドランド"が指し示す通り作品の前半で狂人村のヒエラルキー(特異)をオーバー気味に演出したのだから最後の最後までその勢いで駆け抜けて欲しかった。扇動者が不在になった途端に場内が極端に沈静化してしまう脆さなど作品単体の奥行きの無さを非常に痛感してしまう。次回のプロットを考えるならば第7弾で運営側の人間がゲームへ直接参加させられ人狼ゲームそのものの隠された意図が白昼の下に晒されるそんな展開を望みたい。あと地形が綾部監督の代から変化しないのも新鮮味に欠けるため美味しい箇所はそのままに改変を望みたい。ただ,終盤で苦肉の策にヒロインが突飛な言動に身を投じそれが結局ゲームの雌雄を決する辺りは面白かった!今作は現在レンタルでも普通に借りれるので興味があれば是非お勧めします‼
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