構想30年、頓挫9回…!ひとまずお疲れさまでした。
映画の中で映画撮影をする入れ子構造で、さらに監督自身のドン・キホーテ制作トラブルそのものをネタにしたような箇所もあって、いつも以上に内省的な映画なのだろうと思います。
そう見るとものすごくほろ苦い作品でもあります。
テリー・ギリアムは常に夢を価値あるものとして見つめているように感じます。だからこそ、彼の作品では本当に狂ってしまった者こそ主人公になり得る。
ギリアムのような巨匠ですら「自分もそうありたい」、しかし「そうなれない」というもどかしさを抱えているのだろうかと思うと、とても面白いです。
狂った悪夢は楽しい。しかし、それよりもずっとおかしくなってしまった現実の中で果たして狂ったままでいられるのだろうか…。