真田ピロシキ

ザ・スーサイド・スクワッド "極"悪党、集結の真田ピロシキのレビュー・感想・評価

3.0
前のやつはアメコミ映画離れの一因となったほど最低の映画だったがそれに比べるとずっとマシで、ビールを飲みながら眺めるには景気が良い映画。しかし面白いとはあまり感じなかった。

冒頭は良いんですよ。誰だか知らん奴がムショ内で鳥を殺してこの映画の容赦なさを予感させてて、始まる突入作戦ではいきなり死者続出。それは良いのだが死に様が狼男(イタチだったのか。ロクに見てなかった)がカナヅチで溺死したり、ジオングのように腕を分離した奴が威力がへなちょこすぎて効かずに撃ち殺されたりと完全にギャグ。私はガーディアンズ・オブ・ギャラクシーのギャグを寒いマーベルのギャグでも特に激寒いと思っているのでここでもう興味が離れ気味。スーサイドスクワッド責任者のウォラーが言うにはコイツらは捨て駒の先遣隊らしいが、それにしたって能力すら把握してなくて無駄死にさせてるのは無能としか言いようがない。そのうえ人でなしで人間として良いところがない。部下も誰が死ぬかを賭けてるカイジにいそうなドクズ。しかもネズミ女みたいにこんな仕打ちを受けるには罪状が見合ってなさそうな奴もいるのに。終盤にウォラーに反抗して善人ヅラしてたが忘れてやるほど都合の良い頭はしてないんだ、悪いな。ハッキリ言ってウォラーはジョーカーにすら劣る極悪人だ。正義の味方ヅラしてるスーパーマンとかはこのクズどもを黙認してんの?大層ご立派な正義でございますなぁ、へっ!このカスウォラーが最後に頭をふっ飛ばされれば溜飲も下がったがそんなことはないのでモヤモヤの残る映画だった。

景気の良い死に様は冒頭で打ち止めで本命の人達は物語に保護されそれなりに見せ場をもらって活躍する。しかもハーレイは人気的に生き残るだろうと察しがつくので出来レース染みてて、どうやらなかなか誰も死なない話らしいと気づいた頃には更に流し見。まぁでも、ハーレイはまだ好きな方で前の映画での馴れ合い負け犬姿に腹が立った身としては、本作の欲望に忠実でありながらクズ男に散々苦しめられたために、自分の一線を越える考えを持つようであればイイ男でも迷いなく殺せる、男に自らを委ねない芯の強さが描かれていたのには痺れて満足。それとゆるキャラ キングシャークの存在感。下手に感動要員にならなくて好き。スタローンどこに出てたの?と思ってたらこのサメ君だったのね。

先遣隊はメタヒューマンが多めだったが本隊はネズミ女とかも技術で戦う人間がメインで敵もラスボス以外は人間の軍隊なので普通のアクション映画感覚で見れて断面見せ見せで豪快。この下品さはジェームズ・ガンでは好きな『スーパー』を思い出す。ディズニーの仕事よりこっちの方が合ってんじゃないかねえ。たまに画面が歪む演出があって古いアクション映画の趣もあり、本当は映画館に見に行こうかと考えていたのだが家で気負わずに酒飲みながらダラダラ見てる方が適してて正解だったと思う。