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希望のかなたのcyphのレビュー・感想・評価

希望のかなた(2017年製作の映画)
4.4
特集『愛すべきアキ・カウリスマキ』35mmフィルム上映にて鑑賞 ル・アーブル〜も見返そう 裕福から遠くある人間たちがなお失わずにいる条件反射的な優しさを固く信じてる彼が難民たちに眼差しをうつしたことの自然さとありがたさと 世界全体が優しいわけではないけれど、難民保護センターの職員の彼女、レストランのオーナーにスタッフたち、"素敵な荷物"の運び屋、なによりイラク難民の友人と、当たり前のように手を差し伸べられる人たちも確かに存在する たばこが優しさや赦しとして気軽に・絶え間なく交換され続けるのもいい あなたはここにいていい、ここで呼吸していい その印としてのたばこと火 路上ミュージシャンの演奏シーンがやたら長くて多いのも同じ意味を帯びてたと思う

抜き打ち検査を運と機転でやり過ごしたり、スシレストランに転向してちゃんと失敗したりといったコメディパートも充実しつつも密輸されてきた生き別れの妹の全てを跳ね返すまっすぐな瞳、家族は全員死んだ でもお前は生きてくれという主人公の言葉に「もちろんよ わたしはママの子どもだもの」と瞬きもせず凛と返す彼女のまなざしの強さが作品全体を強く照らしてそのバランスもいい 辿り着いた"大好きな国"で憎しみのナイフを腹に受け海を眺めながら頬を舐める犬に破顔するラストショット
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