希望のかなた
初体験のアキ・カウリスマキはリズムが独特
前々から観たいと思いつつも、DVDでは集中できなさそうで、なかなか公開タイミングに合わず、見過ごして来たアキ・カウリスマキ作品。
昨年の『私は、ダニエル・ブレイク』や『パターソン』同様に、知らない街の現実をリアルに切り取った作品は、それだけで価値があると思うのだけれど、フィンランドの難民の状況がリアルに描かれていた。
シリアやイラクからの難民が流れていることも知らなかったし、こんなに路上ミュージシャンが溢れていることも知らなかった。というか、そもそも、フィンランドの街並みがこんな感じだと知らなかった。
彼らが生きる社会の厳しさがはっきりと背景に描かれている分、登場人物の優しさが際立つ。
自分を犠牲にしながら妹の難民手続きのために遁走する主人公カーリドも、彼を助けるレストランオーナー ヴィクストロムも、レストランの店員ひとりひとりも、カーリドと共に留置所に入ったイラク人の彼も、みんながみんな優しく、美しい。
でも、苦しい社会は美しい彼らを許さない。全てが全て、上手くはいかない。
国民的映像作家として、今のフィンランドを映し撮るという仕事は果たしつつ、作家性をもって、これだけ娯楽性の高い作品を作れるというのは流石としか言いようがない。
あの寿司のシーンは日本人のために作ってくださったんですかね。バカにするのでなく、理解の仕方がズレまくってることによる笑いの取り方みたいなのは、今の日本のバラエティ番組にも学べるところが多そう。(ステレオタイプな日本人ぽいアジア人を起用してないのも良かった)
次回作があれば、観たいです。