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アフリカン・ウエディングのSPNminacoのレビュー・感想・評価

アフリカン・ウエディング(2013年製作の映画)
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自慢のカスタムカーは理解されず独身で肩身が狭い白人アフリカーナーの男ファニーと、大学出で進歩的なズールー族の女ディッキーが結婚しようとしたら。2013年作だけどアフリカーンス語とズールー語と英語が行き交う南アフリカならではの設定、それぞれ属するコミュニティの意識のズレをきっちり描いたロマンティック・コメディ。
恋に落ちた2人は初めて自分を認めてくれる相手を得たけど、ファニーの家族は戯画的なほど無知で非寛容。但しディッキーの父親も伝統的結婚=ロボラという結納金に拘り、どちら側も「悪気なく」差別がある。ディッキーと結婚したくて結納金を納めようとするファニーもまた、「悪気なく」彼女を傷つけてしまう。
ファニーが着るデートの勝負服はスプリングボクスのジャージで、たぶん素直に人種融合の象徴としてのチョイスか。でも染み付いた白人特権や差別意識はなかなか自覚できないし、ファニーの下で長年働くズールー人もそう都合よく協力してはくれない。そういうとこをちゃんと押さえてあるのがいい。負の歴史があるからこそそれを直視したくない側と、未だ忘れない側のアパルトヘイト撤廃後にも残る壁。国旗カラーに肌を塗りたくっても(酷いコスプレ)変わらない、愛だけでもお金でも解決しない。新世代のカップルはそれを乗り越えようと模索する。
家族間の和解はいささか単純だけど、よく出来たロマコメらしい着地だった。ディッキーと父のファッションがお洒落だし、ヴィッキーも父に雇われたジンバブエ女性も活き活きとチャーミング。
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