曇天

すばらしき映画音楽たちの曇天のレビュー・感想・評価

すばらしき映画音楽たち(2016年製作の映画)
3.8
自分が好きだった映画音楽やその作曲家がどんどん登場してきてミーハー心くすぐられる。単純にメドレーとして楽しんでしまった。007(ジョン・バリー)→続・夕陽のガンマン(エンニオ・モリコーネ)→めまい(バーナード・ハーマン)の流れは最高。

自分の好みのジャンルな上、色々と刺激が強い。レイチェル・ポートマンやハワード・ショアの姿を初めて見て、若い頃作品をよく聴いていたことを懐かしく感じたり。映画音楽だけかと思ってたら奇妙な木製楽器を取り出して唐突に自分の大好きなTVシリーズの『ブラック・セイルズ』のテーマを弾き出すものだから変な声が出てしまうし。前半はテンション上がりっぱなし。

作曲家個人にスポットを当てるパートでは予想はしていたジョン・ウィリアムズ、ダニー・エルフマンなどが紹介される。トーマス・ニューマンは昔意識せず『レモニ―・スニケット』のED曲を映像と共にヘビロテしてたが、並べて聴いてみて作風が初めてはっきりわかった。『アメリカン・ビューティー』と『シックス・フィート・アンダー』のテーマがそっくり。

作曲家が映るとその人が作曲した映画タイトルが字幕で3つくらい出るのだが、ハンス・ジマーが映る度全部違うのに笑う。どんだけ多作だよ。しかもどれも印象深い、ジマーだけでドキュメンタリー1本作れるよ。
他にも知らなかった作曲家、観たことない映画ばかり。担当した映画自体のテイストもどこか似通っていて、聞き比べたくなる。

音楽についても語れたら楽しいだろうなと思うけど勉強していないと言葉にするのは難しく、感覚で気に入った曲を探して聴いてるだけ。この映画本編に関しては有名な映画音楽がどれだけ革新的だったかを解説しているのだが、どれも如何せん抽象的表現に留まっていてよく汲みとれなかった。凄さがあんまりわからない。音楽に詳しければ感覚的に理解できたのかもしれない。
映画音楽の歴史全体に関してはわかりやすかった。現代音楽を取り入れることで発展していくのだが根幹はクラシック(これだけで映画音楽を一括りにするのもどうかと思うけどあくまでハリウッド映画準拠で)。西洋音楽の基礎だし、映画の特性上関係性が密なのは納得。

欲を言えば予告でチラッと『フォレストガンプ』映るのにアラン・シルヴェストリ流れないし、モービー出てるのに『ザ・ビーチ』流れないし、もっと幅広く取り扱うのかと思った。その分とっつきやすくはある。インタビュー映像自体が珍しいので一見の価値あり。
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