よつゆ

ドグラ・マグラのよつゆのレビュー・感想・評価

ドグラ・マグラ(1988年製作の映画)
4.5
日本探偵小説三大奇書にも数えられる夢野久作原作の『ドグラ・マグラ』を松本俊夫が映画化した本作。
ずっと読みたいと思っていた作品ではあったが、この馬鹿が一向に読み始めないので原作未読のまま映画から鑑賞。

観ていて何が真実なのかが分からなくなる。
主人公が記憶を失くしている為、真相がまさに藪の中。
真相が語られ始めたと思えばそれは全て幻想でしかない。あるいは真実だったのかもしれない。
地平線の彼方まで砂粒で覆われた広大な砂漠の中でオアシスを求めて彷徨い歩くが、それは全て蜃気楼でしか無いかのような映画体験だ。
それが実に奇っ怪で恐ろしい。

正木博士も不気味だが、主人公の精神患者が一番気味悪い。
そして物語も不可解で実に奇妙。
ただ、作中作として出てくる「ドグラ・マグラ」という小説。
あれは犯人を追う探偵が真犯人だったという小説とはじめの方で説明がなされていたが、あの説明こそが本作をよく表しているのかもしれない。
しかし幻想に幻想が重なり合い全てが分からない。

原作を是非とも読みたい。
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