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ドグラ・マグラのカーネルのレビュー・感想・評価

ドグラ・マグラ(1988年製作の映画)
3.6

最近、幸運にも写真家猪瀬光の作品集を見る機会がありました。
精神疾患者からのポートレート依頼をきっかけとしたと言われる写真シリーズ『DOGRA MAGRA』を一冊にまとめた写真集と特集雑誌。代表作とも言える胎児の写真ももちろんありました。実際にご本人としても夢野久作の影響を受けておられると。

そこで、DVD鑑賞に至ったところなんと!エンドクレジットに〝スチール猪瀬光〟と、ありました!
そーでしたか〜
やはり〜 得心。


〝読むと精神に異常をきたす〟と言われる奇書「ドグラ・マグラ」はン十年前に苦労して読んだけど内容を理解したとは思えず、また今となっては忘却の彼方………。
読んだ気になって偉そうなことを言ってなくて良かったw
そしてなぜか数年前にふと思い立ちリベンジとばかりに電書で手に入れたのですが、100ページも、読まずに放置。
そして、偶然の出会いの猪瀬光さん(笑)
加えてなかなか手にできないDVDが手近なところで借りられた幸運。
出会うべくして出会った作品なのかもしれません。

難解な話をとてもわかりやすく(アレでもわかりやすいと思います。)映像化していて松本俊夫監督ってやはり凄いんだなぁ、と。
ATGが二の足を踏んで、夢野久作のご遺族と手を結んで映像化実現に至ったとか。(特典映像が見られるDVDは有り難かった〜インタビュー充実してます)


1988年作品とあって、懐かしい顔ぶれ、鬼籍にはいられた方、多数。

正木博士を演じた桂枝雀の怪演は当時話題になりました。自身のうつ病経験が活かせると依頼を受けたとも。劇中で正木博士が自殺するわけですが、約10年後本人が自死されてた時にこの映画が取り上げられていました。
喋り方、まるメガネと飄々とした表情、立ち居振る舞い、白衣姿、紋付袴姿、伝説のチャカポコ!
この作品は桂枝雀なくしては成立しなかったと思います。
桂枝雀の映画出演はこの一作だけ。
もっと俳優としての仕事を見たかったなぁ。

若林博士役の室田日出男はスーツ姿がカッコよくて桂枝雀と対照的なスマートさにまさかの狂気を演じて、ゾクっとしました。

一郎役の松田洋治は、今は声優仕事の方が有名のようですが、子役からのキャリアはこの作品で十二分に発揮されています。一番難しい役どころを見事にやり遂げています。凄い。

Vシネで悪役の親玉でお馴染み飯島大介が若い警部役!
他にも長江秀和やイカ八郎もいましたw

あと、劇中人形劇の素晴らしさは忘れてはいけない所。
人形師ホリ・ヒロシの匂い立つ色気の人形たちに魅了されました。

はぁ、読みたいw
難解な奇書『ドグラ・マグラ』に再度挑戦したくなっています。
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