トモ

終わった人のトモのレビュー・感想・評価

終わった人(2018年製作の映画)
4.1
映画 終わった人

一流企業のエリート街道を歩んでいた田代壮介(舘ひろし)は、同期のライバルに負けたことで出世コースから外れ、子会社に出向させられてしまう。そのまま銀行に戻ることなく、ついに定年の日を迎えてしまった。

定年は生前葬か…

退社時、後輩に見送られるシーンを、葬儀の後の出棺に例える切なさ…

その日は家族に温かく迎えられるも翌日からはそれぞれの生活に戻る

仕事一筋だったために、定年後の楽しみも見付けられず、ぼーっとしたりと「終わった人」の数日が描かれる

自分だったら未来の想像だとやりたい事沢山あるけど、実際はこういう人多いんだろうな、

例えやりたい事見付けて動き出しても行くところ行くところ壮介と同じ「終わった人」ばかり…(通い始めたスポーツジムもお年寄りばかり、その中で隠れキャラ的でいながら存在感半端無い脚本家内館牧子さん…嫌いじゃない笑)

そこで出会うIT社長(今井翼)や本屋でバッタリ出会う女性(広末涼子)に刺激を受ける壮介

この辺のストーリー展開が激しい笑

まだまだ仕事をしたいという思い、もっと輝いていたいという願いとか、やり残した事だとか壮介の思いが滲み出る

あとこの年齢になっても「やりたい」欲望の半端無さ、叶わなかった後のホテルでの荒れよう、笑

全盛期のダンディー鷹山こと舘ひろしでさえここまでではないだろう笑


妻のアドバイスも聞かず勝手に決めてしまうことや、定年後も翻弄されてしまう日々に徐々にすれ違い始める夫婦

挙げ句妻に家を追い出され行き着く所は故郷盛岡

そこで地元に触れラグビー部の同僚と語り合う事で過去とこれからに向き合う壮介

自分は上京組では無いから分からないが、一度出たら故郷に帰りづらい思いは沢山あるのだろう

でもそんな思いの柵を取り去ってくれるのは家族だったり旧友たち

大切なものを見付けた壮介が下した決断や妻との「卒婚」

妻が夫の白髪を染めてあげる場面に意味があったり、これから二人が歩んでいく道、

決してハッピーエンドではなくバッドエンドでもない、
最後の桜道を歩く夫婦の後ろ姿が何とも言えなかったし、余韻を残す終わり方だった

舘ひろしさんはホント最高、カッコ悪い中でもカッコ良さを隠しきれてない笑

沢山あるけど自分は眼鏡(サングラス)を外す仕草が好きで全然変わらない

黒木瞳さんは「就活家族」「過保護のカホコ」等々、完璧ではなく少しクセのある妻、母親が似合う

そして大人より大人だった娘役の臼田あさ美さんが凄く良かった

この作品の監督はあの中田秀夫さんです!しかしホラーを期待しても出てきませんのであしからず

そして大好きな今井美樹さんの主題歌、ホント素敵です
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