いずみたつや

プリテンダーズ ふたりの映画ができるまでのいずみたつやのレビュー・感想・評価

3.0
ゴダールへの露骨なオマージュにはじまり、『ラスト・タンゴ・イン・パリ』の引用など、いかにも「映画オタクの学生」という感じが恥ずかしいような、でも少し懐かしいような、なんとも甘酸っぱい気持ちで観ました。

男2人と女1人の恋模様を描いた作品はたくさんありますが、劇中で何度も「男性視点」を批判するバランスは現代的でした。

そのおかげで、自分の欲求に正直な清々しい女性としてキャサリンが浮かび上がってきますが…ここで原題『PRETENDERS』が効いた展開に入っていきます。

誰しも相手のことを分かった気になっているだけで、実は何にも分かっていないのかもしれない、というのは恐ろしいことであり、真実だと思います。

「人生という舞台で…」などと書くと小っ恥ずかしいですが、大なり小なり「自分を演じている」のはごく自然なことではないでしょうか。

人間なんて誰しも自分以外の人にはそうした”見せかけ”の部分しか見えていないわけで、自分もそうした積み重ねで出来ていると認めた時、キャサリンがずっと身近な存在に思えてきました。