みかんぼうや

此の岸のことのみかんぼうやのレビュー・感想・評価

此の岸のこと(2010年製作の映画)
3.5
一時期、TLを賑わしていた「茶飲友達」の外山文治監督による30分の短編作品。「Still Dark」しかり「カランコエの花」しかり、これくらいの長さの短編作品は、本当に映画として良作が多い。

老々介護の厳しさに直面する高齢夫婦の話ですが、余計な説明やシーンを排除して、短時間の中に伝えたいメッセージを凝縮しているからか、とにかく濃度が高い。本作では、なんと一切のセリフすらも排してしまっています。聞こえるのは生活音と登場人物の老夫婦の唸り声だけ。それによって、登場人物が何を思い何を言いたいのかを鑑賞者側の心の中で想像させる。結果として、作品への没入感も上がる。

内容としては分かりやすいので、セリフが無くても大筋では同じ解釈になると思いますが、様々な捉え方が生まれる余白を残した作品だと思います。

ちなみに点数をそこまで高めにしなかったのは、物語の設定と展開の好みの問題で(基本的に好き嫌いで点数をつけていますので)、ショートフィルムとしては素晴らしい作品だと思いました。
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