此の岸のことの作品情報・感想・評価

「此の岸のこと」に投稿された感想・評価

短編作品集3つのうちのラスト。
暫く観ているうちに台詞がないことに気がつく。
老々介護の辛い話だけど、台詞がないことによって、夢を観ている様な感覚に陥る。悲惨な話を美しい愛の物語に変え、最後はメルヘンの世界に誘う。
隠れてるけれど、3本の中で1番良かった。
わさびよりツンとくるし、桜より美しい。
今作の内容に近い事象をたまにニュースで耳にするたび、どうしても暗くマイナスに思ってしまいがちだけれど、幸せの形は外からは見えないし、見る必要もないのかなと。
ショッキングな結末と見られがちですが、2人がとても幸せに見え、ただただ美しかった。
不遇でも、愛し合えさえる存在が居るだけで人生は救われるなとつくづく思う。逆にいえば独りで生きるのがとても怖くなる作品。
そういえば、セリフがなかった。
老老介護が題材、セリフはないのだけれど本当に心が痛くなる。あのようにしなければ心情が伝えられないっていうのも、とても辛い。

最後の選択、正しいとか正しくないとか、幸せなのかどうなのかとか、答えはないと思うけど、救われたって思った。
2人の愛は確かにそこに、存在している。

このレビューはネタバレを含みます

短編ですが、とても凝縮感のある重厚な内容。

人生と向き合う30分… でしょうか。

言葉を使わずに『見せる』という事が、どれだけ観る側の『思い』を引き出すのかを感じさせてくれます。

ドキュメントタッチで描かれているのは老老介護。想像しただけでも、ネガティブなイメージが浮かぶんじゃないですか?

徐々に重さを増していく高齢化の問題。
この現実は確実に肥大化していく。
それは最早、不可避の終焉かもしれない。

介護が必要なまでに不全を抱えて、それでも生き足掻く…その姿には現代社会を想起しました。お婆さんを地球に、お爺さんを人間に置き換えて観てもいいでしょう。

美しい風景と苦しみのコントラスト。緩慢に、黙々と…終わりへ歩を進めていく静けさ。それを鬱々としたままではなく、向こう岸の優しげな幻想に包んで供してる。

トリアー監督のメランコリアほどのカタルシスがある訳じゃないけど…静寂な白の中に淡く溶けていく柔らかさは、どこか安堵を誘う。

できるなら…
苦しみだけに囚われないでいたい。


此の岸のことー

外山文治監督、短編三部作の一作目。
ronji

ronjiの感想・評価

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心が張り裂ける…。

他人の話ではないということ。

この映画に、言葉は必要ない。
IKKO

IKKOの感想・評価

3.9
現実の問題としてあるが直面したくない内容であり考えざるを得ないが答えは出ない。
問題提議するのに十分な作品。
KHinoji

KHinojiの感想・評価

3.8
約30分の短編映画。
BD/DVD「わさび/春なれや」に、3本目の短編映画として収録されています。作られたのは他の2作より古くて、2010年。
老夫婦が主演の物語で、セリフは一切ありません。効果音やあえぎ声などはありますが。で、セリフはありませんが、ストーリーは明確で分かり難い映画では全くないです。

この映画/物語が作られた背景やタイトルについて、監督自身のコメントがありますので、興味がある方はご参考に:
http://www.konokishinokoto.com/contents/intro/index.html

この物語をもし感動のハッピエンドで終わらせたいのであれば、老夫婦二人は、春の桜舞う夢の世界で皆から「良く頑張ったね」と笑顔で祝福されながら幕を下ろす設定になったのではないかと思う。
実際はそんな結末ではない。

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外山監督は、これらの映画のイメージからもっと年とってる方かと思いました。自分が撮りたい映画について、考えがハッキリしている方だと思います。
私はレンタルDVDという形でしたが、見ることが出来て良かったです。

(2018/9 レンタルDVDにて)
外山文治ショートムービー3部作の3。

セリフなし。でも感じれる。
老老介護の話。

本当にさみしい状況でもあるのですが、
「老老介護はよくないな、そもそも老老介護でうまく行ってるなんてありるのだろうか?絶対にだめだろ」などと改めて感じてしまって映画の趣旨とはずれて観てしまった。

あまり好きでなかった。
こすも

こすもの感想・評価

4.3
「映画監督 外山文治 短編作品集」の1作品。
老老介護をテーマとした作品。この作品が一番インパクトがあった。
故・蜷川幸雄が主宰していた55歳以上限定の劇団「さいたまゴールド・シアター」の団員が出演。台詞がないことで、老いの残酷さをより鋭く描けていると思った。
外山文治短編集③

最後に観たけど、この作品が一番古いのですね。

寝たきりの妻を介護する夫。老老介護というものです。

シビアな現実がドキュメンタリーのようにリアルに映し出される。
セリフはないけど、二人の声なき声が聴こえてくるよう。なんとも痛ましい。食べることから排泄まで、すべて人に頼らないとできないというのは、本当に辛いだろうなと思います、、。

昔なら、家族や親戚、近所の人でどうにか支えられたことも、核家族化が進んだ今は、とても家族だけでは無理なのは明らか。子育てもそうだけど、家族だけで無理な時は、社会全体で支える仕組みが出来ないものかと思います。簡単ではいかないことは百も承知ですが、血の繋がりや介護保険制度だけでは解決できないことがたくさんあります。

誰にでも必ずやってくる「老い」という現実。こういう映画を観るといつも考えてしまいます。

この監督の三作品を観て、やはり長編を観てみたくなりました^_^
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