jonajona

アトラクション -制圧-のjonajonaのネタバレレビュー・内容・結末

アトラクション -制圧-(2017年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

○いいところ
宇宙人関連のシーンは、ハリウッド大作と比べても遜色ないほど良い。
リアリティもあるし、工夫が見られる演出もあって見ててワクワクする。
それだけで十分魅力的。
特に宇宙船落下シーンは本当良く出来てると思う、落ち着いた音楽と破壊映像のギャップも素敵。
宇宙人のスーツの動き方が
かっこよくて説得力がある。

○よくないところ
とにかく主人公が糞。周囲の人間も魅力的なキャラクターが皆無なので、もう制圧されてしまいやがれと思う。
キャラを好きになれないと観るのも苦痛になる典型例みたいな映画。

宇宙侵略ものだと最近見たもので、
『スカイラインー奪還ー』は主人公も途中参加のレイドな人(?)もちゃんと好きになれるように作ってた。
あと、例えば『スーパー8』『宇宙戦争』『地球侵略ロサンゼルス決戦』など…
大味か繊細かはさておき、キャラクターを受け入れられるからこそ、最後まで感情移入できる。なぜ今回はそれができないのか?ちょっと考察します。


ーどこから嫌いになっていくか?ー

◇僕の場合、宇宙人襲来シーンからでした。宇宙船落下の直後、彼氏に助けられ病院で目を覚まし、親友を失ったことで動揺する…のあとあたりから、どんどん嫌いになっていく。
宇宙人に親友を奪われたから→即ぶっ殺してやろう!と銃を持ちヤンキー彼氏共を煽る主人公。いや一人で行けや。
発想がストレートすぎて怖い。


ー主人公がきらいになるワケー

◇負の要素
●自分中心に動き回る

●嘘つき(自己矛盾)

●もはや自信満々な顔が腹立つ

◇決定的瞬間
こいつ嫌い!ってなる決定的なのが、
宇宙人を連れて(父親が大佐なのでそれを利用し『妊娠したから相談したい』と嘘ついて)軍の施設に乗り込み、宇宙人の重要な装置『シルク』を盗み出すシーンでした。その時の要素を列挙すると…

●父親が宇宙船対策で忙しいのに全く都合を考えないガキ

●その癖私の気持ちを考えてくれたことはあった!?って今それどころちゃう!!
(家庭内のゴタゴタと宇宙規模の話の相性は古来より最悪。乗り越えれたのはGOG volume.2だけ)

●妊娠した→忙しい中軍部に招き入れ話を聞く。で父親としての姿勢を一定示してる。のに対して、嘘をついて侵入→裏切り行為を働いてる主人公。この構図が痛々しい。何を言っても正論に聞こえない。

●『主人公』がやることだから結果的にプラスに働くんだろうけど、そこまでの過程でなんら宇宙人に肩入れする理由が見当たらない。助けてくれた・目があった時に通じ合った、は理由として弱い。
ご都合、というカンジ。

●私がどんな状況か知らないでしょ!と怒鳴るが、知って欲しいなら話せ。
何故ここまで父親を目の敵にするのか?母親の今際の際に父親のせいで立ち会えなかったとかそんなの。これも説明のタイミング次第な気はするが、(世界の危機に比べると)その程度のことで?と思う。

ー隅から隅までキャラ愛せないー

◇脇役までムカつく
主人公の同級生でオタク青年が宇宙人と初コンタクトに立ち会うのですが、彼が主人公と宇宙人の会話に横槍を入れるという構成でそこの会話劇が進行する。
しかし、オタク青年のセリフは『馬鹿に説明してやります』と言わんばかりに言葉足らずな宇宙人のセリフを冗長に傘増ししてるだけで余計ザ・余計、主人公が言う通り、『わかってるって!』と思っちゃう。ジャマ。声が高いのもイヤ。

◇自己矛盾
・彼氏をほっぽって、親友を殺した筈の宇宙人とイチャイチャしだす。
ヤンキー男だと言えど、
さすがに可愛そう…
(ほいで、宇宙人に心を許すきっかけが『助けてくれたから』なんだけど、彼氏も宇宙船落下の時ビルから落ちそうになったとこ助けてるし…)

→『彼氏は彼女見捨てて逃亡』クソ野郎
→宇宙人は悪人かと思ったら、彼女を救助くらいだったら対比しやすい。

たしかに自由奔放で周囲を振り回す女の子は魅力的なことが多いですが、
そういう子はやっぱり『一本芯が通ってる』ことが条件なのだと観てて思う。
この子は愛せない。

・父親との確執みたいな題材は、
本筋とそんなに関係ないのに
けっこう比重重めで語られる。
かつ、主人公の言い分が支離滅裂。

◇最終的には…
誰彼構わず振り回す主人公
×嫌われてる父親
×乗り換えられた元彼ヤンキー
×美形のキャラ薄宇宙人

なんやかんや市民暴動が起きて宇宙人スーツを着た元彼ヤンキー大暴れ、主人公と今彼宇宙人が戦う…という。
これ、なんの映画!?!?

感想)
スカイラインや宇宙戦争は、子供だけはなんとしても護りたい父親。
戦争ほどパニック状況下だと、若者が主人公ってもしかしたら難しいのかもしれませんね。シリアスを目指すとやっぱり軽く映るし、恋だのしょーもないことを絡めるしかないのか…
スーパーエイトのように青春色を全面に押し出せば、やりようがあったかも。
それにしても変でしたがこの映画…
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