まいとん

ウォーキング・ウィズ・エネミー / ナチスになりすました男のまいとんのレビュー・感想・評価

3.0
話は感動的な勇気ある行動について重点がおかれており
ラストもハッピーエンドになっています
それはそれでいいですが
現実の重さに対して、このドラマは少し物足りないかもしれません

ただ珍しいのがハンガリーの矢十字党についての描写が多いところです
ナチスドイツの蛮行について描かれた映画はたくさんありますが矢十字党についての映画は少ないのではないでしょうか

ハンガリーは第二次大戦中、親ナチスドイツの政党が権力を握りました
ハンガリー人もユダヤ人を排斥し、ナチスドイツもユダヤ人を排斥しました
ハンガリー政権とナチスドイツの間に微妙な力関係があり
その隙を利用してハンガリーのユダヤ人はナチス兵に変装し収容所に送ると見せかけて出国させ同胞を救いました

しかしユダヤ人を心の底から憎んでいるハンガリー人兵が偏執的な思いでユダヤ人を殺すシーンがあります
今でいうヘイトクライムです
狂気がひょっこり顔を出します

感動的な救出話だけではなく、こちらの方にも力点を置いた方が映画としてはリアルなのではないかと思われました

矢十字党の人間は戦後裁かれたことが手短かに語られます
日本はどうだったかと思わずにはいられませんでした