サンヨンイチ

ハンターキラー 潜航せよのサンヨンイチのレビュー・感想・評価

ハンターキラー 潜航せよ(2018年製作の映画)
3.7
全体的に評価が高すぎる感が否めないですが、
カタルシスをとことん極めて排除したような作品であり
終始ストーリーの粗さには気にならず、
むしろ演出の大胆さや
原潜の豪快さとマッチして
映画全体の特徴に拍車をかけているよう。
潜水艦という特殊な閉鎖空間特有の
得たいの知れない怖さ、ゾクゾク感が見事に肌身に伝わってくる。
余計なものは取り払い、説明するところはしっかり説明することで、
次のシーンは如何に難関なことに挑んでいるのか、
失敗すればどうなってしまうのかが明確。
故に画面で起こっていることに集中でき、
最悪の事態の連想が、ドキドキハラハラを助長させる。

本来なら突っ込みどころ満載なはずなのに、
米露の潜水艦の対峙シーンや
文字通り息を殺して突き進むシーンや
ネイビーシールズ側の圧倒的不利な状況に向かうシーンなど
テンションぶちあげポイントが
テンポよく詰め込まれており、

ロシア大統領が捕らえられるクーデターって
何?とか、
どこの出自かも分からない艦長に従順すぎる乗組員たちとか、
育成能力えげつな過ぎるロシア艦長が味方につく超絶展開とか、
ラストとか、
全然気になりません。

昨今、女性や黒人などマイノリティに
スポットを過剰にあてる風潮がありがちな気もするが、
今作は良い意味で男臭く、激シブ映画。
少なくとも作品上では敵対国となる関係を越えた仁義、互助の精神。
陳腐になりかねないテーマを感動のシーンへと引き上げているのは
ジェラルドバトラーとミカエルニクヴィストの顔面見応え力たる所以だろう。
原潜ばりに大画面に映える役者陣は間違いなく取って変えることにできないキャスティングに思う。