ざわさん

ブレス しあわせの呼吸のざわさんのレビュー・感想・評価

ブレス しあわせの呼吸(2017年製作の映画)
3.7
2018年 156本目

キングコング、ゴジラ、『猿の惑星』シリーズのアーサーなどを手掛けるモーションキャプチャ俳優のアンディー・サーキス初の監督作品。ポリオに感染したことで首から下が完全麻痺してしまったロビンの実話。
『博士と彼女のセオリー』に代表されるような、障がいによって車椅子生活を余儀なくされる(その映画の場合はALSが原因だけど)系の実話は必ずと言っていいほど涙腺をぶっ壊してくるので、今作でもそれを期待してた。ただ泣くことを目的として映画を見ると、泣けなかった時に必然的に「期待値以下」という結論に至ってしまうので、そういう気持ちは排除。
まず、題材からして素晴らしい映画ではあることは間違いない。主人公1人だけの感動ストーリーかと思いきや、自分の回復だけを考えるのではなく、同じくポリオで苦しんでいる人たちのために奮闘した人々の物語。感染し、人工呼吸器をつけたことでしばらくは会話すら出来なくなった彼の "Let me die." は心に刺さる。自分では何もできないという状態は、「生きている」といえるのだろうか。
機械に強い人が友人がいたことから、車椅子に人工呼吸器を取り付けることで、ベッドでの生活から抜け出す。そこで自分の余生をただ楽しむような、そんな人ではないところが凄い。今でもその車椅子を広めたことが影響して技術的にも進歩したと思うし、間違いなく歴史に残る偉業。
ただ、なんでだろう。感動はしたんだけど、大きな感動ではなかったんだよね。スピーチの場面とか、一言一言に重みがあって、アンドリュー・ガーフィールドの力強い演技と組み合わさることで素晴らしかった。だけどこれは映画の演出上、仕方ないんだけど、楽しいワイワイした場面がとても多いので、緊張と緩和がありすぎるというか、どちらにも偏らないうちにその場面が終わってしまう。
ざわさん

ざわさん