nanana

フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法のnananaのネタバレレビュー・内容・結末

4.0

このレビューはネタバレを含みます

衝撃のラスト。

色々レビュー読んでしっくりきたものがあり、あーなるほどと思った次第。
それまでは思考が追いつかず、突然バサッと終わった感じで見終わったあとしばらく意味を考えました。

そしてその映画のすごいところは、とにかく対比。そして画力がすごい。すさまじく素晴らしいカラーリングと描写。
世界観がすき。
このPOPさ(見た目)と、現実で起きていることのえぐみの対比が肝。

ムーニーちゃん達子どもフレンズ達のやってることは日本で言ったらちびっこギャング的な、昭和から平成初期は荒れ果てた団地によくいた(スラム街に近いようなエリア)貧困ヤンキー予備軍。これが日本の団地が舞台なら暗い澱んだ空気や 灰色の空、湿り気のある重い空気。この辺が漂いそうなところ。
フロリダのポップすぎるコントラスト高めなパープル、どピンク、原色オレンジ。青い空と白い雲。カラッと晴れた空気感。青い空に虹。
これらが背景になるだけで全然空気が違う!(やってることはちびっこギャングなのに。)なぜか明るく見えてしまう画力の魔法。
でも現実はもちろん全く明るくなんかなくて幸福とは程遠いところにいてその厳しさを描くことが主眼だからこそ、このからっきし明るい舞台背景がおもいっきりの対比で生きている。
ここが一番の肝であり見せ所。

もし仮に内容無視してこの画を5秒間だけ切り取ったらめちゃくちゃインスタ映え!ってなる超スーパー幸せ家族風の見せ方の色合いなのに、
この映画は全編貧困問題とそのスパイラルを訴え続けている。

あーもうこの見せ方がうまい。最高にうまい。そして好き。
ポップなのに絶望っていうところが、ただ単に絶望を描かれるより何倍も効いてくるから。すごいです。監督さん。

バービー人形みたいな色合いというかザ・アメリカ!などぎついポップさも最高。

でもメインテーマは貧困ですお間違いなくっていうところが、画に見入ってしまうくらい画力が強いので、常に意識して紐解く必要があります。

画力が楽しめて、もちろん本編テーマも考えさせられて、そのハイブリッド効果で落差に打ちひしがれる。三度美味しい映画ですね。

よかったです。

日本でいう万引き家族とかとテーマ的には近いかもですがズバリ同じではないし見せ方が全然違うし(その根底にある社会構造の闇も似て非なるかもですが)社会派とインスタグッドが両立している唯一無二の世界観。監督さんすごい。

やってることただのジャンキーかもですがお母さん役の必死なところと雰囲気あってバチくそ最高でした。(日本で撮るなら土屋アンナさん!と思いながら見てました笑)
nanana

nanana