幕のリア

ポルトの幕のリアのレビュー・感想・評価

ポルト(2016年製作の映画)
3.1
アントン・イェルチンの頼りない体躯、嗄れた声、青白い顔、刺すような視線。
才気溢れる若手俳優の車両事故による早逝。
本作では魂が抜け落ちそうな不安定な男の弱さが切実で、重い病気から死に至ったのかと思うほど。
愛に縋り、失い、虚ろで痛々しい姿に惹かれてしまう。

かように陳腐なプロットでは一歩違えば大火傷の危うさ。
視線が合ったその時から…
そんな事もあったっけかなと目を細めながら、何も恋愛や性愛でなくとも、安全圏のハプニングやアクシデントで日常から少しだけ脇道に逸れたいと夢想してみる。

レイトショーで観るべきだったと後悔。
かなり悶々としそうではあるけど。
背中丸めて劇場を後にして、馴染みはいないけど良い酒が呑めるバーで煙草を燻らせて、それとなく酩酊し結論の出ない反芻を楽しむのが良さそう。
幕のリア

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