TaichiShiraishi

ウスケボーイズのTaichiShiraishiのネタバレレビュー・内容・結末

ウスケボーイズ(2018年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

淡々としながら熱い中々いいノンフィクション映画でした。音楽も控えめ、演技も抑えめ、話の展開も実話だからリアルめ‥かと思いきや要所要所でえ?それマジで?みたいなびっくり要素が入ってくるのも逆に実話の醍醐味。

真面目一辺倒でもなく渡辺大の低体温な演技や内野さんの大げさじゃないお調子者っぷりが生むオフビートな笑いも楽しかったり。

ワインに関する専門用語や都会の人には馴染み薄い地名もバンバン出てくるんだけども、それに関する説明は一切なし。ただこのガチンコプロフェッショナル達のストイックな雰囲気が個人的には好みでした。用語わかんなくても高度なことしてるわ〜ってのがわかれば楽しい。
基本的にみんな都会暮らしとか今までの暮らしを捨てることに関する葛藤とかがほとんどないのも、リアリティの面ではどうかと思ったけど、ストイックさを出すって意味ではありかと。

みんなで力を合わせる系の話かと思いきや意外とバラバラになり、仲違いや別れもあり、だんだんと人生を詰み重ねるにつれみんなワインのように熟成して友好関係が戻っていくのが印象的。

そして人が死んだり主人公たちの前から去っていく時のあっさり具合もちょっとギョッとするレベル。
宇助さんも末期癌なのにエネルギー出してスピーチしたと思いきや、次のシーンで大胆なジャンプカットで亡くなってたり、内野さんのお爺さんも話が進んでいくうちに前振りなくいつのまにか死んでいたり、主人公の奥さんもいきなり去ってもう一切出てこないなど描写がドライ。
ブドウ畑がダメになる時もその場面は描かず、事後だけ描く。主人公たちも去っていく人や物に対してそれを悲しみながらも素直に受け入れてるのがリアルな人生っぽくて良かったと思う。

そうやって自然の摂理に逆らわず、勤勉に畑仕事してたら急に都会から安達祐実がやってきて一緒に働いてくれるっていう超展開に笑ってしまった笑。
人生大逆転ホームラン過ぎるだろ笑。

でも冗談抜きで自然に逆らわずやれることをやって生きていたら突破口が見つかるっていう教訓が見えてきた。

そして本作をグッと引き締めるのは橋爪功。さすが過ぎる。柔らかな雰囲気から急にピリッとした空気を出すし、宇助さんの喋りを聞いているだけで見ていられる。
ちょこちょこ有名人が出てて、
清水章吾がお爺さん役やってるのもちょっとびっくり。

和泉元彌はソムリエ役としては貫禄充分だけど、何故かフランス人からフランス語で話しかけられてるのにずっとドヤ顔で日本語喋ってるのは笑ってしまった笑

まあヒットしそうもない題材だけど見応えは充分な一作でした。
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