まめまめちゃん

ビール・ストリートの恋人たちのまめまめちゃんのレビュー・感想・評価

4.0
アメリカに強く根付く黒人差別を訴える映画。
ですがゆったりと美しく物語は進んで、
差別は日常でごく当たり前のことだったのさ、いまも大して変わらないんだよ、と淡々と読み聞かせされてる物語のような映画でした。

ある日突然犯罪者として刑務所に入れられてしまう主人公。いるはずのない遠い場所で起こった事件の被疑者として。当然無実を訴えるのですが、黒人というだけで裁判さえしてもらえません。
部屋を借りるにも仕事を得るにもびっくりするような障壁がある黒人にとって、冤罪を覆すなど到底無理難題。結果黒人囚は減刑を申し出て早く出られるよう嘆願するしかないのです。

…といった社会派な面がメインストーリーの映画にしてはかなーりテンポがゆるく、映画のどこそこにふんわりとして確実に存在する愛情の光が見える映画でもあります。私は「ムーンライト」があまり合わなかったのもあり、今作もそのゆるさを楽しめたかというと正直疑問です。

ただレジーナ・キングが単身プエルトリコに乗りこみ、濃いめの化粧と洋服で武装した姿や白人女性の予期せぬ感情の爆発にうなだれた姿を見たとき、軽く衝撃を受けました。これほど愛と勇気と強さに溢れた役柄の人物が、冷静な会話と判断を要求しても取り合ってもらえないんだ、ただの肌の色なのに、高くて越えられない壁なんだということです。そんな物語はたくさんあったに違いないし私も見てきたはずなんだけど、レジーナ・キングの演技に知らず知らず胸を打たれていたようです。いつも私はなめられがちだからツボにハマってしまったのかもしれません。

私はこの映画の感情的印象的な部分よりストーリーに共感したようです。この監督とは合わないかもしれませんが、そんなわたしにもメッセージは伝わったように思いました。