現実逃避帰国準備

リンクル・イン・タイムの現実逃避帰国準備のレビュー・感想・評価

リンクル・イン・タイム(2018年製作の映画)
4.0
『A Wrinkle in Time』(2018)は、昨日レビューした『BFG』(2016)と同じくディズニーの実写ファンタジーだけど、こっちは内容が濃い。濃すぎて、1回観ただけじゃ、全部汲み取れない。

2018年の公開時に、息子が学校の先生の引率で映画館へ行って観て、私はそのすぐ後、飛行機でざっと観ただけだったから、今回ちゃんと観てみた。

内容が濃すぎるのでまとめてみた↓(スポイラー注意)。

原作は、Madeleine L'Engleの1962年出版の同名の児童書で、ニューベリー賞の他、沢山の受賞をしている。歴史的名言を引用しまくるキャラクターがいるんだけど、その名言を知っていれば、より映画を楽しめるし、知らなければ、知識が増えて良い。息子の英語の先生が映画館へ引率してまで、生徒達にこの映画を見せたかった訳だ。

引用されたいくつかの名言↓

Life is like a tree without blossoms or fruit. Gibran, Lebanese.

The wound is the place where the light enters you. Rumi, Persian

The foot feels the foot when it feels the ground. Buddha, Nepali

Love looks not with the eyes but with the mind. Shakespeare, British

英語だけじゃなく、数学、物理学、宇宙の概念/用語を学び始めた中学生以上向けのJuvenile映画で、"Faults"自分の欠点や"aberration"人と違う事を認識し強みに変え、Self-esteem、Relationshipに対し"Awareness"と"Inspire"となる映画。

Evil 悪、陰謀に勝つには、Love愛が最強というよくある話はやっぱり最強でウルッとくる。

哲学、メッセージが、抽象画の様なAbstructな描写の中に入っていて、何回か観ないとその全てを汲み取れない。飛行機の中で観た時はあまり面白いと思えなかったのは、理解出来てなかったから。4次元、5次元の話で思い出した『Interstellar』も2回目に観た時の方が面白かった。Tesseract(四次元超立方体)、Frequency、Universeに"Wrikle"しわを寄せすれば瞬時に他の惑星へ行けるなどの描写で宇宙のロマンを感じられ、誘惑、邪念などの描写で仏教、哲学が心に響く。宇宙Universe概念として、Spiritの様な3人のキャラクターは、あらゆる宗教の神以上の大きな力の存在を描写していて、『2001年宇宙の旅』を思い出させる。

結末で、地球からの偉人の"Acknowledge"として挙げられる
Einstein, Curie, Gandhi, Austen, Kahlo, Schindler, Nelson Mandela, Maya Angelouらは、中学生達がこれから歴史の授業で習っていく。

主役の女の子は、Beauty Pageantに出るような美少女で無い所が、今までのディズニーの主役とは違ってて良い。主役は美人じゃなくちゃいけないという風潮は止めないとね。21世紀になって、Exploitation of women in mass mediaの批判が増えてきたけれども、まだまだ動物に近い考えの人がいる限り、その風潮は変わらない。美人でスタイル良くないとニュースキャスターにはなれない様な風潮があるから、Self-esteemが低くい人が美容整形や豊胸手術で顔や体にメスを入れてしまう現代。アメリカでの女性へのリスペクトは日本と比べ物ならない位マシだけど、外見の美を崇めるメディアによる洗脳で、美容整形するLow Self-esteemの人達がまだまだ沢山いる。頭がまだ柔らかい若い子達に、外見は重要じゃない、内面の美にフォーカスするというメッセージが伝わる映画。

音楽はトレンディなポップミュージシャン達 Sade, Sia, Kehlani, Chloe x Halle, Freestyle Fellowship, DJ Khaled, and Demi Lovatoが歌っていて、ティーネイジャー達の興味を引く要素になっている。BGMは『Game of Thrones』のRamin Djawadiが作曲。