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ガーンジー島の読書会の秘密のmajiziのレビュー・感想・評価

4.5
第二次大戦後のイギリス、一冊の本をきっかけに作家のジュリエットがガーンジー島の読書会を訪れるという物語。

イギリス時代物はとても好きだし、ストーリーもしっかりしていて、それでいて戦争の悲劇だけに終わらない素晴らしい作品だだった。

私もどちらかといえば本に救われてきた人生なので、いろんなところで共感した。

戦時下という極限状況においてこそ、人間は本質が剥き出しになるし、だからこそ心を癒す文化的なものが必要となる。

ガーンジー島はフランスに近く、戦時中ナチス占領下にあった。読書会のみんなが秘密にする今は居ないエリザベスの存在を自分なりに探るジュリエット。ちょっとミステリー仕立てでストーリーの肝になっている。


エリザベスを知るたびに、ジュリエットは自分の生き方を悟っていく。

若いとどうしても物とかお金なんかの贅沢に圧倒されるし惑わされるわけで。

狭い部屋なのにやたら花送られたり、でっかいピカピカの石のついた婚約指輪に愛がないとは言わないんだけども。

こっちの心が伴わないと、それらと共鳴しないんだよね。

でも人ってそういうものに弱いじゃない?笑

それを超えて、会ったこともないのに一冊の本で繋がれると感じられる心の豊かさって何なんだろう?

でも確かに、それは誰にもわかることだし、あるんだと思う。

大家さんや、滞在したホテルの人など端役の人までしっかり癖のあるキャラの描き方がさすがイギリスって感じ。

それからなんといってもガーンジー島の美しさと、キットの可愛さは100点満点!
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