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007/ノー・タイム・トゥ・ダイのradioradio526のレビュー・感想・評価

4.0
「007…ただの数字だ」

「007ノー・タイム・トゥ・ダイ」鑑賞。

現役を退きジャマイカで穏やかな生活を送っていたボンドのもとに、CIA出身の旧友フェリックスが助けを求めにやってきた。
彼の平穏な日常は唐突に終わりを告げる。
誘拐された科学者を救出するという任務に就いたボンドは、その過酷なミッションの中で、世界に脅威をもたらす最新技術を有した黒幕を追うことに…。

ダニエル・クレイグ版007の最後を飾るシリーズ25作目。
鑑賞に先駆けてAmazonプライムで話題になっていたダニエルのドキュメンタリー「ジェームス・ボンドとして」を観た。
1時間弱の作品だったが、これまでの4作品と新作を網羅した内容で
「あぁ…そういえば最初は随分と酷評されていたなぁ…」と思い出した。
作品内容で叩かれた訳じゃない。
金髪で不愛想…まるで魅力のないボンドとしてクソ叩きにあっていたのを微かに覚えている。
つまりは…それくらいジェームス・ボンドには確立したイメージがあり、ダニエルには「我らがボンド」の要素がなかったのだ。

そして世に出た「007カジノロワイヤル」で評判が一変する。
殺しのライセンスを手に入れたばかりの粗削りで一途な男、女性には優しく、ギリギリのアクションをこなす若きボンドに世界が魅了された。

ダニエル版007の大きなポイントが「続きもの」であることだ。
これまでのシリーズはその映画単品で観ても楽しめる作りであったが、ダニエル版は今作を含める5作品が続きものとしての大河性をもっている。

「ダニエルがボンドにもたらしたのは…ボンドの内面と複雑な感情の側面だった。
それらは原作には書かれているけど映画では表現されてこなかった」
シナリオの素晴らしさもさることながら、人気の最大の理由はここだと思う。
これまでのシリーズはボンドというキャラクターの表面的な部分をなぞるような感じだったんじゃないか。

続きものにすることによって、そのルーツから今に至る全ての背景と向き合う独りの人間を描き切ることが可能になった。

ネタばらしを避ける為の表現が難しいが…今作はシリーズの最終作として伏線回収のミッションを全てこなしながら「駆け抜けた」感が素晴らしい!
ストーリー性に没頭すると小難しい内容になりがちだが、前半からグイグイと引きつけるアクションは相変わらずだ。このエンタメ性がスパイスになって続きものに有りがちな妙な重厚感を減らしてくれる。
全てが複雑に繋がっているのに、それを忘れて没頭させてくれる作品…最高だ。

今回、シリーズを復習して鑑賞に臨んだ人が多いようだ(僕も例に漏れず)
可能であれば、是非ともそのようにして観ることをお薦めする。
キャラではなく、人間としてのボンドを堪能するには…そうすべきだ。

最後に本音…僕は世代的にいえばロジャー・ムーアなんだけど、整髪料べっとりでどうにもイヤらしい印象が抜けきらず、一時期シリーズそのものから遠のいてましたw
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