Mikiyoshi1986

ライオンは今夜死ぬのMikiyoshi1986のレビュー・感想・評価

ライオンは今夜死ぬ(2017年製作の映画)
3.5
あの永遠の"ヌーヴェルヴァーグの申し子"ジャン=ピエール・レオ君も、いよいよ「死」を見つめる老境に入りました。

諏訪敦彦監督が名曲「The Lion Sleeps Tonight(ライオンは寝ている)」をモチーフに、
オールフランスロケで完成させた贅沢な逸品!

しかも前述通り主演はレオ君で、旧友役にはブレッソン監督『白夜』でデビューした女優イザベル・ヴェンガルテンも出演。
二人はなんと本作で『ママと娼婦』以来、約45年ぶりの共演を果たしたのです…!
こんな凄いことを日本人の監督が実現させちゃったんだから、本当にこれは偉業ですよ。

年老いたベテラン俳優ジャンが映画撮影中、「死」を演じることへの苦悩から物語は始まります。
死は終わりではなく、出会いであると口をもごつかせながら熱弁する老優の眼差し。
この少年のような瞳の持ち主こそ、紛れもないレオ君ご本人。

死別した最愛の女性ジュリエットへの墓参中に、映画製作する子供たちと出会い、相反する彼らは"映画"という共通項を介して交流を深めていきます。

純粋に映画作りを楽しむ子供たちと触れ合う過程で彼の心は氷解してゆき、
一方で霊体のジュリエットとも心を通わせるジャン。
そして子供の中の1人、ジュール君の素性から終着点を導き出すドラマ。
楽曲「ライオンは寝ている」から生と死を多角的に見つめたユニークな作品でした。

初対面で子供たちを脅かすレオ君がめちゃんこ可愛い。

南仏コート・ダジュールの穏やかな気候がこのかけがえのない瞬間をより美しく彩ってくれます。
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