sonozy

ボイス・オブ・ムーンのsonozyのレビュー・感想・評価

ボイス・オブ・ムーン(1990年製作の映画)
3.5
フェデリコ・フェリーニの遺作。
エルマンノ・カヴァツォーニの小説『狂人たちの詩』がベースという作品。

イタリアの田舎町。井戸から聞こえる月の声に囚われた男サルヴィーニ(ロベルト・ベニーニ)。
巨乳のおばちゃんが踊る部屋を覗く男たち。
サルヴィーニの祖父の墓もある墓地では、悪魔の音階「ソ・ラ・ド・ミ♪」のトラウマで何故か墓地で寝泊まりしている元オーボエ奏者の男。
など、不思議なキャラクターやエピソードも入りつつ。

サルヴィーニにとって月のような存在の女性アルディーナに近づこうとするが拒否られ、ハイヒールを投げつけられて落ち込む。

一方、現実は全て嘘だという妄想に取りつかれ、街を彷徨っている元知事のゴンネッラ(パオロ・ヴィラッジョ)。
落ち込むサルヴィーニの姿を見て、彼を引き連れて、製粉業者によるGnoccataという祭りへ。
小麦粉で作られたニョッキを食べたり、ダンスしたり、ミス小麦粉コンテストにはアルディーナが参加し優勝したり。

再び井戸の声に引きつけられたサルヴィーニ。ゴンネッラは彼を部下に任命し、闇の組織の本部だと廃墟へ連れて行くが、そこはマイケル・ジャクソン「The Way You Make Me Feel」のカバーが流れ、若者たちが踊るディスコだった。

サルヴィーニはアルディーナに投げつけられたハイヒールを踊ってる女性に次々に履かせ、君たちみんなアルディーナ!と盛り上がる。
ゴンネッラは現れた元妻とワルツダンス。若者たちはスペースを空け二人を見つめる。

一方、広場に集まる町の人々。政治家や司教がずらりと並び、テレビのリポーターが入っている。
ミケラッツィ兄弟が巨大な農機具で月を捕まえ、ロープに縛り付けているというすごいニュースで、その兄弟のインタビューや現地の中継がスクリーンに映し出されていた。
すると、群衆の中の一人の男が喚き、スクリーンに向けて銃を放ち騒然となる。

再び一人井戸に近づくサルヴィーニ。
空に浮かぶ月(アルディーナの声)と会話する・・

月がテーマなので、夜のシーン多めです。
月(の声)に囚われ、祖母との過去の回想など妄想力&詩情豊かな男(ロベルト・ベニーニ)と、現実を信じられなくなった男(パオロ・ヴィラッジョ)。
そして、月(本物)を捕まえた兄弟・・
ある意味、狂人たちによる寓話のような?読後感です。

ダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞: 最優秀俳優賞(パオロ・ヴィラッジョ)・編集賞・美術賞
sonozy

sonozy