図師雪鷹

泣き虫しょったんの奇跡の図師雪鷹のレビュー・感想・評価

泣き虫しょったんの奇跡(2018年製作の映画)
3.8
瀬川晶司という、存命中の実在する将棋棋士の人生を描いた映画。
プロの将棋棋士になるには、奨励会というプロ棋士養成機関の中で、満26歳までにプロ(4段)に昇段出来なければいけない。ダメだったら退会させられ、一般人に戻る。「あいつは絶対プロになるよ」と言われるような人がどんどん落とされる厳しい世界。主人公の瀬川晶司は一旦年齢制限で奨励会を退会したものの、35歳で強さが認められプロ入りしたという異例の人物だ。


この人は、勝ちに対して積極的になれないという決定的な致命傷があったが、それは彼が優しかったからだ。
どこか寂しげな雰囲気を背負いつつもいつも支えてくれる人が周りにいた。そして、ある意味将棋に人生を狂わされたはずなのにそれでもなお、将棋を愛していた。将棋好きの人からしてみれば、ほっておけない存在なのだろう。

監督も元奨励会員だそう。元棋士として、 この映画に多くの知識や経験を積み込んだのだろう。五分も登場しない人物に大物俳優が割り当てられていたが、これは、今ではもう顔を思い出せないような人が、自分の中でかなり存在感を持っているからなのか。将棋がもたらした出会いと別れ、どちらも大切にしたいという意思を感じた。
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