鮭り

デス・ウィッシュの鮭りのネタバレレビュー・内容・結末

デス・ウィッシュ(2017年製作の映画)
2.6

このレビューはネタバレを含みます

とりあえずそこそこの規模の映画が観たい気分だったのでアマプラで試聴。
こういう系の映画は比較的好きな方だと思う(アクション映画ボンクラおじさん的な人々と比べると全然観てない方だと思うが)、その上でまず結論から入る。
まあなんというか、きれいな出来のアクション映画だとは思う、思うんだが、さすがにもうひと味欲しかった。

例えば、YouTubeで銃の使い方や記録媒体の潰し方を勉強するところとか、こだわったディテールなんだろうし(やや当り前感があってあまり楽しめなかったが)、実際最初は全然強くないブルース(奥さんの方が強かったまである)はちょっと珍しいと思う。しかし、この辺の「普通の(強くない)お父さん」感が本作ならではの味わいに寄与しているかというと、「ブルースウィリスだし死ぬにしても全部ケリついてから死んでくれるだろ」みたいな安心感に相殺されてしまっている節がある。
また、最初に襲撃犯が現れるまでの丁寧な語りは美点なんだとは思うけど、僕は正直飽きたし、早くしろと思った。

演出ついでにアクションに関していうと、ガレージでの拷問シーンやアイスクリーム屋さんみたいな、一方的な展開は好みだったし楽しめた。ただ、上記の通り全体的に「普通のお父さん」「ブルースウィリス」のどっちつかずなところがあると思う。なんというかどっちに転んでもそこそこだよな、という域を出なかった。

アメリカにおける自警の是非、みたいなテーマについても、一箇所なるほどと思う部分はあるものの、正直”自警の是非”テーマ自体がB級アクションあるあるに思えてしまった。(あくまでブチ切れお父さん話がメインの映画だからでもあるだろうけど)『狼よさらば』(未見)のリメイクとはいえ、ものすごいデジャヴがあり、もっと身もふたもなく言うと『処刑人』(そこまで好きではない)とかで見たなー感……。『狼よさらば』文脈で言うと、『狼の死刑宣告』の方がテーマに限らず新鮮に感じた。(僕は『狼の死刑宣告』は大好き)

ただ、ちょっとメタ構造っぽい映画でもあると思っていて、妙にスッキリ終わることで逆説的に「本当にこれでいいのか?」と問いかけるような作品ではあり、イーライロス他に観たことないけど、こういう持ち味なのか?とは思った。アイツが真犯人に見える問題とか、スッキリさせ方が倫理的にどうかという感じがするところとか、かえってモヤモヤするように作っているとは思う。
黄色人種の出番のなさからのあのラストも、すごく意図的に作られている感じがした。え、僕も自警の是非ちゃんと考えないと駄目っすかね?的な気持ちになった。こういった含みの部分に関しては良かったけど、真意はアメリカ人が読み解いてくれと思う。
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