ガンビー教授

花筐/HANAGATAMIのガンビー教授のレビュー・感想・評価

花筐/HANAGATAMI(2017年製作の映画)
-
大林監督がなぜこの映画を撮らねばならなかったのか、なぜこれをずっと撮りたかったのか、過去作を追ってくるとその心情が痛いほど伝わってくる。今ではないかつて、日本が祝祭の空気にさえ包まれていたあの時期、その時間のなかに囚われた少女。大林監督のフィルモグラフィに登場してきた少女のことを思いだすと、僕の記憶のなかではつねに彼女たちは時間的・空間的に幽閉されていたような印象がある。

そして血。血は、滾る生と、その対極にある生のはかなさ(そしてその延長としての死)を一身に背負うモチーフとして扱われているように思う。多くの矛盾を抱え込んだ生の象徴としての血は、"ベテランのアマチュア"と自らを称する、かつての軍国少年だった監督が撮る反戦映画の中でひときわ鮮やかに毒々しい。
ガンビー教授

ガンビー教授