TaichiShiraishi

海を駆けるのTaichiShiraishiのネタバレレビュー・内容・結末

海を駆ける(2018年製作の映画)
4.3

このレビューはネタバレを含みます

なんから後からじわじわと好きになってきた。

ラウの正体は断言できないけど、海や自然や自然の摂理が人の姿をして現れたものかな。
でも物体の時間を戻したり急に移動してくるのはちょっとそれだけじゃ説明つかないけど。

インドネシアの風景とゆったりした雰囲気の映画なのであまり気にならないが、やはりラウは恐ろしい存在にも見えるように描かれている。なんの伏線もためもなくとある主要人物を殺すのも自然の象徴って感じ。

深田監督はインタビューで全部辻褄が合わないように作った、いい映画というのは見た人の心理を写す鏡のようなもの、と答えているのでこの映画は見て、感じて、延々と考えて、残る謎に想いを馳せるのが楽しいんじゃないかな。

解釈は無限大。
劇中で夏目漱石の有名な回りくどい翻訳「月が綺麗ですね」が使われるのもこの映画全体のスタンスの表明では。
アイラブユーと考える人もいれば、月出てないじゃんで終わってしまう人もいる。
それくらい受け取る人によって海のように形を変える映画なんだろう。

わからなくても大賀の異常な現地への溶け込みっぷり、阿部純子の美しさ、撮影の美しさ、会話の自然さなど見どころは無数にあります。
深田監督やはり鬼才や。
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