しゅう

バッド・ジーニアス 危険な天才たちのしゅうのレビュー・感想・評価

4.0
字幕版を鑑賞。

カンニングに関するサスペンス自体は、二人の秀才の超人的な記憶力と頑張りに頼るばかりだったが、様々な社会的事情を抱えた彼ら彼女らの青春ストーリーとして面白く観れた。

そして何より終盤の展開とラストの対決で、現状のタイの学歴至上主義や名門高校の拝金ぶり・貧富の格差を皮相的に描くだけでなく、そこを超えて本当の「教育」とは何かを問うてきたのには唸らされた。

個人的には、カンニングを依頼する金持ち側のグレースとパットを単なる軽薄な悪役として描かなかったのも良かった。

彼らは親のカネで秀才たちの頭脳を利用して(パットに至っては暴力まで行使する)恥じない軽薄ぶりなのだけれど、一方で「学び」によって力をつける術を持たない哀れな彼らは大人の敷いたレールの上を生きるしかない。

リンがグレースやパットと訣別した場面での二人の表情から、彼らにとってリンが友人或いは利用対象というだけでなく、「学び」によって自立した力を持った「ヒーロー」だったように思えた。
しゅう

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