TAK44マグナム

スカイライン-奪還-のTAK44マグナムのレビュー・感想・評価

スカイライン-奪還-(2017年製作の映画)
4.2
人類にはシラットがある!


突如襲来した異星人によって人類の脳みそが奪われる侵略SF「スカイライン-征服-」の続編。
前作は決して多くはない予算の大半をVFXに投じた「どうです?こんな事も俺たちできるんですよ!凄いでしょ?」みたいなカタログ映画でしたが、作った甲斐があったのか今作では自慢のVFX以外の部分にも予算を投入することに成功した模様です。
即ち、スターがキャスティングされちょる!(&前作ではマンションだけだったロケーションも大幅に増えた)
「キャプテンアメリカ/ウィンターソルジャー」のフランク・グリロを主演に迎え、あのインドネシアの格闘技シラットが炸裂しまくる映画「ザ・レイド」からイコ・ウワイスとヤヤン・ルヒアンを招聘!と、まさしくこれは異星人に反旗を翻すには鉄壁の布陣じゃないですか!

製作が開始され、「どうやら今度は異星人をシラットでしばくらしいぞ」と聞こえてくると、「マジか!なんてバカなことを考えるんだ!最高じゃないか!」と心の中の中学生が激しいビッグウェーブを大発生させ、いてもたってもいられなくなったのでした。
しかし、いざ公開されても上映館が少なく(日本の配給会社はどうなっているんだ!)、結局観に行けずに悶々とする日々。
ようやく円盤化され、何とかゲットできたので遂に接近遭遇をはたした次第であります!


いやはや、ほぼ期待通りのバカっぷりに溜飲がグワッと下がりましたよ!
作風は至って真面目でシリアスなのですが、後半に進むに従って格好良くバカが加速してゆきます。

前半は前作と時間軸が一緒で、実はフランク・グリロが宇宙船内部で暴れまわっていましたよって話。
しかも前作のラストからキッチリと繋がっているので、途中で非常に熱い展開が待っていたりするのが堪らん!

宇宙船が墜落してからは、いよいよイコ・ウワイスたちの出番がやって参ります。
墜落した地、そこはラオス。
麻薬の製造で糊口をしのいでいるイコさんたち。
何だかんだとグリロ一行を助けます。
悪徳警官のヤヤン・ルヒアンを返り討ちにして捕まえたりしているうちに、逆ギレした異星人が攻めてきたので徹底抗戦!
グリロが連れてきた赤ん坊が勝利への鍵だったりするのですが、そんなことよりも格闘技やナイフで異星人(の操るサイボーグ兵)を圧倒するイコさん最強!
共闘するヤヤンも頑張りますが、かつての狂犬も本作では割と可哀想な役で、実際のところゴア描写担当なのが切ない!
面白いけど!

グリロも腕に異星人の武器を装備して大ハッスル!
ついには巨大ロボという反則技にはしる異星人!
なんだこれ、パワーレンジャーか!
ならばこちらも巨大ロボが欲しい!
大ピンチのグリロたちに果たして救いの神は現れるのか!?

・・・などと、非常に子供じみたクライマックスが楽しいですな。
真面目に論ずると、大国の横暴に対抗してきたイコさんたちが、今度は異星人の横暴に大国側だった白人と共闘して対抗するという図式がオーバーラップされて考えさせられる、なんてのも言えるんでしょうけれど、そんなのはどうでも良いのです。
異星人とガチンコでやりあうのがただ見たいだけなので!
本音を言えばステゴロ(素手での喧嘩)も見たかったのですが、さすがに異星人相手に武器を持たずというのは説得力に欠けるのか、殆ど武器ありでのバトルだったのが残念といえば残念。
その辺りはイコ・ウワイスVSフランク・グリロで楽しめって事なのかもしれません。

まぁ、あまりのご都合主義的な展開や、CG合成が甘かったりするのが目につきましたが許容範囲でしょう。
それよりも何よりも、前作とのリンクや、ひたすら日本の特撮ヒーローものみたいにバトルするクライマックスのバカバカしさが神っているので無問題!
やっぱり地球人は最強だったんだなと胸を張れるオチも高尚さなど微塵もありゃしませんが、やたらとお金ばかりかけた「インディペンデンスデイ・リサージェンス」の100倍は良い仕上がりじゃないですか。素晴らしい。

フランク・グリロは「パージ・アナーキー」のお人好しな復讐鬼役が個人的に最高ですけれど、途中から髪型が崩れて変になる本作のグリロも頑張りすぎてて萌えます。
赤ん坊を抱きながら右往左往するところなんて、「ワイルドスピード/アイスブレイク」のジェイソン・ステイサムを彷彿とさせる即席パパっぷり!
必ず約束を守るその姿に、思わず男も惚れちゃいますよ!
しかし、もっと惚れてしまうのが地下鉄の女性車掌役のボヤナ・ノヴァコヴィッチ・・・の危険すぎる胸元!
薄着になる後半、やたらと主張してくるチラリズムはワザとなのでしょうか?
きっと、フランク・グリロも密かに覗いたに違いない!
イコ・ウワイスなんて童貞みたいに頬を赤らめたかもしれません!


そんなわけで、異星人の大規模侵略モノやSFアクションがお好きな方にオススメ。
多少のチープさ、拙い演出には目をつむって、バカさ加減を素直に味わうが吉でしょう。
高級レストランみたいな澄まし顔の超大作ばかりじゃ飽きてしまいますから、たまには駄菓子屋でよっちゃんイカをチェリオで流しこむのも悪くありませんよ。


セル・ブルーレイにて