子持ちのカイロレン

ジェラルドのゲームの子持ちのカイロレンのレビュー・感想・評価

ジェラルドのゲーム(2017年製作の映画)
4.5
 休暇を過ごしにやってきた別荘で、ジェラルド(ブルース・グリーンウッド)はマンネリ解消のために手錠プレイを妻ジェシー(カーラ・グギノ)に提案。しかし興奮したジェラルドはプレイ中に心臓発作で死亡。両手をベッドに手錠で繋がれたまま身動きが取れない絶対絶命のジェシーのもとに、腹を空かした野犬がやってくる…

 全編ベッドの上で展開する、どう考えても短編にしかならなそうなシチュエーションなのにスティーブン・キングの原作はなんと500P以上の長編。正気と狂気の間を行き来するジェシーの意識の流れをねちっこく追いかける、おおよそ映画化には不向きな内容で、キャリア初期からこれを映画化したいと言っていた変わり者がマイク・フラナガン。『オキュラス/怨霊鏡』で現在と過去を途切れなく繋げたように、ジェシーの妄想と現実を見事なカット割で繋げ、原作に忠実に映画化。結果、キングの映像化作品の中でもトップクラスの素晴らしい作品になった。
 夫婦で行うSMプレイでも、映画のタイトルにあるようにそれはあくまで夫ジェラルドのゲーム。乗り気じゃないセックスを我慢するように自分の意思を殺して夫を支えてきたジェシーだが、極限状態の中、自分の人生を支配したある過去の出来事と対峙した時、この極限状態から抜け出す光が見える。ラストで取る壮絶な彼女の選択、多分自分なら出来ません…