子持ちのカイロレン

ナイト・ストームの子持ちのカイロレンのレビュー・感想・評価

ナイト・ストーム(2019年製作の映画)
3.0
 ある夫婦から庭の柵の修理を頼まれた若い男が、嵐のせいでその家に一泊。地獄の一夜を過ごすハメになるという、ジャケットからは全く想像がつかないサイコスリラー。
 監督はイーストウッドの右腕カメラマンとして活躍してきた人で、そのイーストウッドと無理やり繋げるなら、「白い肌の異常な夜」あたりだろうか。元軍人と美女の誘惑、って部分だけだけど。つまりねっとりした女性の誘惑がサスペンスの肝で、その部分に関してはしっかり演出されている。あんなエロいケイディ・ストリックランドの誘惑に勝てる男はいない。
 ニコラス・ケイジは相変わらず手を抜かずに悪役を快演。自分から柵の修理を頼んでおいて、作業が始まったら何故かライフルで撃ってくる、完全にどうかしてる役。とにかく性格が捻くれた悪意の塊。絶対に近寄りたくない、怪演の多いケイジでも最も嫌なキャラクター。
 そんなこともあってか、公開当時のrotten tomatoで0%を叩き出したらしく、ニコラス・ケイジ史上最低評価、最低興行収入の二冠を達成した不名誉な作品となってしまった。ただそこまで悪い作品ではないと思う。少なくとも上映時間97分のうち70分ぐらいまでは。ラストはケイジに二丁拳銃持たせるために、それまで積み上げてきたものが崩壊。大人の事情を感じる。