子持ちのカイロレン

オレの獲物はビンラディンの子持ちのカイロレンのレビュー・感想・評価

オレの獲物はビンラディン(2016年製作の映画)
4.5
 ゲイリー・フォークナー、ロサンゼルス在住の46歳。普段はお酒好きの陽気なアメリカ人。でも人工透析をしないとすぐに幻覚症状を発症し、遂に神様が目の前に現れる。
 『オサマ・ビンラディンを殺せ』と命令された彼は、パキスタンがどこにあるかも知らないし軍事訓練も受けたことがないけど一人ヨットでパキスタンに向かう。神様がなぜかイギリス人コメディアンのラッセル・ブランドで胡散臭いけど気にしない。人は神様から使命を与えられたら、それを達成させなきゃならないのだ。
 というヤバい実話を、ハイテンション演技のニコラス・ケイジと、突撃どっきり映画「ボラット」の監督コンビで送るコメディ。これがなんとハートウォーミングないい話で驚く。とにかく主人公が愛すべき人物なのと、聖母のような彼女、障害者との愛ある交流も描かれ、ほとんどファレリー兄弟映画のような後味。しかも下ネタがないので老若男女お勧めできる。
 なんでもニコラス・ケイジによると、編集権をスタジオに奪われ、納得がいかない仕上がりになったそう。愛国心の塊みたいなゲイリー・フォークナーは、いつものラリー・チャールズ監督ならおちょくってたような人物だし、本当はもう少し毒のある作品だったのかもしれない。