子持ちのカイロレン

ダーティー・コップの子持ちのカイロレンのレビュー・感想・評価

ダーティー・コップ(2016年製作の映画)
5.0
 常に不安そうなイライジャ・ウッドと、『stay positive』しか言えないダメ上司のニコラス・ケイジが、身の丈に合わない犯罪に手を染める、観客に媚びない上質の犯罪映画。
 ローアングルの移動撮影が抜群に素晴らしく、夜のラスベガス郊外のルックなんかは時にカサヴェテスやポール・トーマス・アンダーソンの映画のよう。あとおっさんと若者コンビの設定や、犯罪プロセスの描き方には「ブレイキング・バッド」の影響も感じる。そういえば冒頭でイライジャがやる気のないセックスしながら、上に乗った女性の胸のほくろを凝視するシーンは、「ブレイキング・バッド」でガン宣告されたウォルターが白衣のシミを見つめる場面のオマージュなんじゃないだろうか。
 シナリオも一級品で、Alex BrewerとBenjamin Brewerの兄弟監督は間違いなく才能あるのに、本作が大コケしたせいで、これ以降監督作がないのが残念。Benjaminの方はNetflixで「レプタイル 蜥蜴」書いてる。やっぱり犯罪ものが得意なんだろうな。