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切り裂き魔ゴーレムのtakanoひねもすのたりのレビュー・感想・評価

切り裂き魔ゴーレム(2016年製作の映画)
3.3
年末に観た。 
歴史上の実在人物が複数登場する19世紀末、霧の都ロンドン猟奇殺人事件物

波止場近い貧困層の地区ライムハウス(ユダヤ系が占める)で連続殺人事件が起こり新聞は犯人を『ゴーレム(ユダヤの伝承)』と書き立てた。事件の捜査を半ば押し付けられたキルデア警部は、夫の毒殺容疑で収監されている元喜劇女優のエリザベスが事件解決の鍵になると確信したが……というミステリー    


ビクトリア朝時代のロンドン+リッパー派生の創作物って好物だったし面白く観た


微バレ含むので下げ↓






"ゴーレム"は、男性であり女性であり、犠牲者であり加害者、両方になりうるもの、っていう隠喩を含むため、犯人は誰かってのかなり早めの段階で分かってしまった。

その隠喩にくっついて、犯人の動機(名声)と生い立ち(幼少期の虐待による性的な問題、男性憎悪、支配からの脱却)と絡ませつつ、キルデア警部と対になる社会から傷を受けた者同士的な配置をして、犯人への共感を生ませる効果はあったと思う、魅力がある悪役ってやつ。

ダン・レノ、カール・マルクス、ジョージ・ギッシングという実在人物が容疑者として浮かぶ辺りは、ストーリーの装飾として動いてたけど、ダン・レノは犯人像の補強と一種の投影装置で、他の2人はまあ……その時代のイギリスの象徴って程度なもんかな個人的には。

見せ方は親切で良かったし、時代設定、背景、衣装も雰囲気良かったけど、もう少し物語にエグみが欲しかった。
開いた本の上に切断ち○こが絵的には良かった