Yutaka

デンジャラス・プリズン ー牢獄の処刑人ーのYutakaのレビュー・感想・評価

5.0
暴力暴力暴力。これは美しき暴力賛美。ザラーの映画はこれで全部見たけど圧倒的に好きだった。久しぶりに暴力映画を見て、映画におけるバイオレンスの快楽の重要性を久々に痛感した。この冷たい暴力を演出できるのは北野武とレフン、そしてザラーに限る。ステゴロ暴力が気持ち良すぎて、スタンガン要らねえわってほかの囚人に渡す所とかハードボイルドすぎる。ハードボイルドなんだけど、オフビートな笑いもあり、それは絶妙な間や会話の空気感によるもの。電気ショックとか効果音も含めて絶妙なタイミングで差し込んでくるのが面白い。緊張と緩和に関しては凄いのがその振れ幅では無く、緩和状態にヌルッと暴力が投下される感覚が先程挙げた監督達に通ずる部分で稀有な才能。
基本的には音響は冷たく、それは刑務所の空虚を表現するに当たってこれ以上ない効果。刑務所の移動だけで面白すぎる。そして、何よりザラーが選ぶ劇伴のセンス。音響と隔絶した空間で寂しげに鳴るソウルミュージックはもはやわびさび。主人公の哀愁を強調する。現代に数少ないハードボイルド超傑作。
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