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Visionのgogotakechangのレビュー・感想・評価

Vision(2017年製作の映画)
4.0
私達は、とてつもなく大きなうねりの中で生きている。

1000年に一度の一大イベントに立ち会える奇跡が、自分の抱える過去の傷を癒やしてくれると信じ、人々は山に入る。

"1000年に一度"の奇跡は、山の中では当たり前のように発生している。その一つを"奇跡"と捉えることのできる者たちは、当然どこかで繋がっている。そのか細い絆を信じることができる者たちの前にだけ、日常茶飯事が奇跡となって現れる。

宮沢賢治の「わたくしといふ現象は、仮定された有機交流電燈のひとつの青い証明です」という言葉が思い出される。
奇跡にまみれて生まれてきながら、ほとんど気づくことなく死んでいく。その方が幸せな人生を送れると思う。

黒澤明の『夢』
黒沢清の『カリスマ』
河瀬直美本人の『萌の朱雀』
そんな映画が思い出された。
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