ノラネコの呑んで観るシネマ

V.I.P. 修羅の獣たちのノラネコの呑んで観るシネマのレビュー・感想・評価

V.I.P. 修羅の獣たち(2017年製作の映画)
4.6
何これ、無茶苦茶面白い。
韓国映画が大好きな猟奇殺人ものだが、犯人が重要な情報を握った北朝鮮からの亡命者ゆえ、警察も簡単に手が出せない。
自分が“守られるべき存在”であることを知っている人間のクズを巡り、暴力刑事、国家情報院、CIA、クズをつけ狙う謎の男が四つ巴の争奪戦を繰り広げる。
全5章からなる物語は二転三転して全く先を読ませず、終始スリリング展開する。
死の匂いをまとった男臭い情念のドラマの濃密さは、さすがのパク・フンジョンだ。
久々登場のチャン・ドンゴンを始め、キャストは善玉悪玉入り乱れ、強烈にキャラ立ちしている。
特筆すべきは、物語に朝鮮半島ならではの時事性が巧みに織り込まれていること。
これ“現在”が2013年に設定されてるのだけど、それがなぜなのかが明らかになる終盤のある描写は、絶望に鳥肌がたった。
ゆえに、ここ十年ばかりの金王朝の権力闘争史を予習しておくのが吉。
いかにもこの作家らしい、壮絶なる滅びの映像詩。
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