現在の台北で暮らす人々を映した群像劇。
地下鉄やお寺など、見たことのある場所が多くて面白かった。
また台湾映画に裏切られた。
旅行者の目には、台湾は暖かくてのんびりして活気がある国というイメージしかない。生活しやすそうだなとも思う。
でも実際に住んでいる人々は、鬱屈とした気持ちやさまざまな思いを抱えて生きているんだなと、当たり前なことをちょっと意外に思った。
仕事や恋愛関係がうまく行かなくて抱える鬱屈さは、東京に住んでいる私にも十分おなじみの感情なのにね。
逃げた鳥は最後まで帰ってこず、どこから流出したのか会ったこともないジョニー宛の間違い電話はひっきりなしにかかってくる。
喪失や不在という色を漂わせながらも、時はちゃんと流れて物語が進む。
ゆっくり日が暮れていくような映画。観たあと、台湾にしばらくいた気分になる。