ルイまる子

モリのいる場所のルイまる子のレビュー・感想・評価

モリのいる場所(2018年製作の映画)
3.8
一つ言いたいことは、私にも80歳過ぎの親が居るが、一日中あんな忙しく出来るわけがないよ!午前中それなりに行動したら午後は寝てる。たまたま年間通して一番忙しい一日を描いたというならいざ知らず、あそこまで頻繁に若い人が訪れ、夜まで若い衆の大群に対してすき焼きを振る舞うなど自殺行為だ。

そのあたりの現実的でない面を除いて見ると、なかなか良い映画ではあった。

何も起こらないセリフも少ないのに、よくあれだけその人物を表現できるものだ。流石の達人山崎努と樹木希林さんだな〜と感心。

「あなた」などと新婚のような呼び方をする奥さん、子供がいないのかと思いきや、最後に守一画家の大先生が「俺は生きるのが好きだ」という言葉に対して、
「うちの子供達は皆早くに死んでしまったのに」と奥さんが言う、その言葉でよくわかった。そしてこのレビューで実際の画家熊谷守一が赤貧故に長男次男の小さい内に亡くしたと書いてあったので理解した。あの場合の奥さんの気持ちとしては、こうだ
「あなたは実に勝手な人ですね。自分のやりたいようにやり、絵かきなのに絵を描かないから生活出来ずに食べる物もなく子供が死んでいったというのに、今更自分だけは生きていたいなどと。。。」

結局やりたいようにやっている芸術家の話。その周りを取り巻く善人達の静かな物語。その静かな生活を木々や虫達と伴にきれいに描いている。ドリフターズ等懐かしいし、確かに当時、仲本工事の体操は本物だぞ!と言う人が家族や知り合いに一人くらいは居た笑 

しかしこのゆっくりした昭和は若い人の憧れかな。

私の世代は(あのおじいちゃんの娘の立場)これと言って感動はない。

樹木希林さんのセリフと同じ感想。「あなたは好きに生きてよござんすね。子どもたちは皆早死しましたよ。」
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