べー

ジョン・ウィック:パラベラムのべーのネタバレレビュー・内容・結末

5.0

このレビューはネタバレを含みます

ドイツでは2ヶ月ほど前から公開されている為か今ではすっかり小さいスクリーンに追いやられていたが、ようやく時間ができたので観賞した。

殺害人数はチャプター2には及ばないものの、これまで以上に直接的なゴア描写が増えている。また「役者のアクションを全て見せる」という製作陣のポリシーのもと、敵の目にナイフを突き刺す描写だろうが身体の欠損描写だろうが堂々と映している。それに伴い、当然主人公にも前二作が遊びに見えるほどの暴力が襲い掛かる。どこへ行っても、誰に助けを求めても、どのような選択肢を選ぼうとも常に極限状態ともいえる非常に強い圧力に晒されるキアヌを見るのは正直辛かった。前作までは、むしろ徹底的に虐め抜かれ、それでも強靭な意思のパワーでそれらをはねのける彼をいつまでも見ていたいと思ったものだが、今作においてはどうしても「もうやめてあげて」という同情が勝ってしまった。それほどまでに、チャプター3では追い込まれる。
もちろん、今回においても最強の名にふさわしいのは彼なのだが、敵の強さも半端ではない。片言の日本語をしゃべり、きゃりーぱみゅぱみゅを聞きながら寿司を握る今回の敵はカンフーに熟練した忍者である。柔道を主体とした投げ・関節技を駆使するキアヌにカンフーマスターをぶつけたのは、兼ねてから言われてきた「ジョンウィックってアクションは凄いけど動きがとろいよね」という失礼極まりない世間の声に対する答えなのではないかと、個人的に思いながら観ていた。キアヌを含めた製作陣の「ほら見て!ジョンのアクションは確かに遅いかもしれないけど、こんなに素早く動く敵よりも強いんだよ!」という叫びが聞こえてくるようである。

このように、アクションシーンは暴力性に研きがかかっているが、同時にジョンウィック流のギャグにも豪快に振り切っている。特に序盤の馬を使ったギャグと、しつこすぎるナイフの投げ合いには私も含めてかなりの観客が笑っていた。ふざけているようにしか見えない荒唐無稽な殺し合いを、顔を血まみれにした男たちが必死な形相でやっているのだから笑わずにはいられない。

意外にも、もう一人の主人公といっても過言ではないジョンの愛車の出番はなかったが(修理に出した前作の直後の物語だから当然か)、毎回新しいアイデアを見せてくれるジョンウィックシリーズはいったいどのような形で決着するのか、楽しみで仕方がない。回を追うごとに犬がキアヌにどんどんなついてるのもうけた。
べー

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