回想シーンでご飯3杯いける

最初で最後のキスの回想シーンでご飯3杯いけるのレビュー・感想・評価

最初で最後のキス(2016年製作の映画)
4.0
イタリア版「ウォールフラワー」とでも呼べそうな、ビターな青春映画。イタリア北部の保守的な高校に転校してきたゲイのロレンツォと、自由奔放である事から尻軽女と揶揄されるブルー、そしてバスケが得意だけど軽度の知的障害があり苛められているアントニオが、奇妙な連帯意識を感じながら、いじめっ子への復讐を目論み、校内で旋風を巻き起こす様子を描いている。

レディ・ガガの「Born This Way」を筆頭に、ニューオーダーやMIKAによるダンス・ミュージックが多数使用されていて、雰囲気はポップでカラフル。3人のキャラクターもとても魅力的に描かれている。3人の親も、子供を応援するスタンスの人や、別の問題を抱えている人など、多種多様で、群像劇として見応えがある。

しかし、3人の復讐の度が過ぎた事で、自分の首を絞めてしまう事になる後半はかなり辛口。特にラストシーンが賛否両論になっているようだが、僕はプロフに「映画はストーリーだけではなく演出や構成も大事」と書いている通りで、ストーリー的にはバッドエンドなのかもしれない本作も、演出としては少年達、そして青春期にある全ての若者に対する力強いメッセージを感じさせる、とても素晴らしいエンディングになっていると思う。