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運命は踊るのとぽとぽのレビュー・感想・評価

運命は踊る(2017年製作の映画)
4.0
ヨナタンが死んだ --- 水を飲んでください。ここでは確かに感情打つものと時事問題や社会のリアル、政治的観点が等しく扱われ、思慮深い形で描かれている。突然の息子の訃報、けどそれが誤りだったら…軍の者に激怒する父。水を飲んでください。一方の息子ヨナタンは特に危機感や危険性があるでもない任務地で、仲間と代わり映えのしない日常を送っていた"最後のベッドタイムストーリー"。しかし、そんなある日、検問所にやって来た若者たちを乗せた車が彼の運命を変えてしまう。水を飲んでください。冒頭から印象的な神の視点を感じさせる真上からのショットに、じっくりと対象を見せる長回し。その中でジワジワと広がるような不和に魅せられ、蝕まれる。残酷なほど淡々と効率よく、恐ろしいほどに手際よく捌かれていく人物たち。彼らのゆっくりと顧みるリアルな対話や衝突とそれぞれが抱えているもの、何気ない瞬間の大切さに気づいたときには既にもう手遅れなことの方が多い。どうしようもない。どこへ行こうと必ず同じ場所に戻ってくるステップ。フォックストロットというダンスから取られた素晴らしい原題が示すように、結局、動くだけ動いてみても一度動き始めてた運命からは逃れられない、変えることはできないのか。それを他作品よろしくご多分に漏れずまたも分かりやすく説明してしまっている邦題は、そのために原題ほどは魅力的ではなくなっているけど、これもまた心配性な日本の文化かと思う。とりわけこういう作品を見たときに感じる歯がゆいほどの自らの無知さを呪う。水を飲んでください。

創世記にヤコブは息子のヨセフが死んだと思い…「遺体はあるんだろうな?」前、前、右…後ろ、後ろ、左「大人になる前最後のベッドタイムストーリーを」Clear 手榴弾だ!「サイは水たまりに突入する」
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