にしやん

迫り来る嵐のにしやんのレビュー・感想・評価

迫り来る嵐(2017年製作の映画)
3.5
香港返還直前の中国の地方都市が舞台や。前時代的な社会主義経済から、“赤い"自由主義経済へと社会が大きく変貌していく中で、時代に取り残されていく人々を映画は冷徹に描いとるわ。
主人公の異常なまでの執念は「?」やけど、いかにも前時代的な「模範工員」の表彰式なんかは、当時の時代の空気感をよう表しとったわ。
まあ、考えてみたら、当時言うても1997年やで。つい最近とちゃう?たった20年で、これだけ大きな変化って一体どんなんやねん。今の中国の姿と比較してこの違いは凄いとしか言いようがあれへんわ。そらどんだけ仰山の人等が置き去りになってんやろ。想像するだけでも恐いわ。強烈な時代や社会の変化そのもんが「迫り来る嵐」やってんな。
せやけど、時代に“置き去り”くらいやったらまだマシかもな。「大躍進」とか「文革」とかは酷いどころの騒ぎとちゃうもんな。どんだけ仰山の人等が死んどんねん。数千万人とか億やで。中国現代史の闇は深過ぎやで。
それにしても、主人公のおっさんはある意味しゃーないにしても、恋人の女性はちょっと可哀相すぎへんか?あんまりやな。全く救いがあれへんやんか。
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